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管理費滞納等による59条競売の請求が棄却された裁判例①

2015 - 06/09 [Tue] - 18:39

Q: 数年間で管理費を180万円以上滞納し、バルコニーを私物でいっぱいにしており、大規模修繕工事や、雑排水管清掃工事を拒んでいることにより数年間その居室部分について同工事が行われていない区分所有者に対し、59条競売を請求したいです。
 ただし、最近は、滞納管理費を一括で支払うなどと言っていますが、今後も同様の行為があるといけませんので、管理組合は受領を拒絶しています。また、バルコニーの清掃や修繕工事にも応じるなどと言っていますが信用できません。

A: 上記のような滞納額があっても、区分所有者が一括で支払いを申し出ているのを管理組合が受領拒絶していたなどの事情がある場合に、東京地方裁判所平成22年5月21日判決は、類似の事案で59条競売を認めませんでした。

ポイントは、以下の点です。

① 数年間で180万円以上の管理費滞納があるが、一括支払いを申し出ており、
  これを管理組合が受領拒絶している
② 工事拒絶は、区分所有者の共同の利益に反するとはいえるが、障害の程度が
  著しいとまでは言えないうえ、訴訟では改善する意向を示している。
③ 訴訟提起後、バルコニーは概ね片づけている


(判旨)

「(1) 管理費等の滞納について
  ・・・,被告は,現在まで,管理費等の一部(平成20年5月1日時点で合計183万4252円)を滞納しており,その滞納額や滞納期間に照らすと,この滞納は本件マンションの管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為に当たるといえるものの,その滞納額の本件マンション全体の管理費等における割合や,被告による管理費等の滞納によって本件マンションの区分所有者に生じた実害(本件マンションに必要な改修工事が実施できない状況にあることなど)を認めるに足りる的確な証拠はないのであって・・・,本件マンションの区分所有者の共同生活上の障害が著しいものとまでは認め難い。
    また,被告は,本訴提起後・・・,滞納管理費等を一括で支払うことを申し出しているのであって,現在まで支払が完了していないのは,原告及び本件管理組合の方で管理費等の受領を拒絶しているためであること(前記1(5))や,Cが,本訴における証人尋問において,今後は管理費等を支払う意向である旨証言していることに照らせば,競売請求以外に管理費等の滞納を解消し得る手段がないとも認められない。
  (2) 工事への協力拒絶について
    ・・・・,被告らのこのような工事への協力拒絶は,本件マンション全体の雑排水関係設備や建物の機能を害し,又は,その美観を損なうものとして,本件マンションの管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為に当たるといえる。
    しかしながら,本件各証拠によっても,雑排水管清掃工事や大規模修繕工事が行われないことによって本件マンションの設備等に具体的な不具合が生じたことはうかがわれないのであって,被告らが上記各工事を拒絶したことによって区分所有者の共同生活上に生じた障害の程度が著しいものとまでは認め難い。
    また,Cが,本訴における証人尋問において,今後はこれらの工事に協力する旨証言し,また,被告らが,本訴提起後,被告訴訟代理人弁護士の指示を受け,・・・各行為について,これらを改善する意向を示し,現にその姿勢を示していること・・に照らせば,競売請求以外に工事への協力拒絶の状況を解消し得る手段がないものとも認められない。
  (3) 共用部分における迷惑行為及び近隣居住者への嫌がらせについて
   ・・・・・ 被告らは,本訴提起後,本件居室の玄関付近の外壁その他の各所に貼ったビラ,放置した自転車(それに貼り付けたビラを含む。),ダンボール,プラスチック製タンク・ペットボトルなどの私物やごみの清掃に着手し,現在までに,それらをおおむね片付けるに至っており,バルコニーについても,私物の清掃に着手し,現在までに,それをおおむね片付けるに至っている。
      これらの事情を総合考慮すると,今後再び被告らが同様の行為を繰り返した場合は別論,現時点において,被告らの上記各行為(共用部分における迷惑行為及び近隣居住者への嫌がらせ)による区分所有者の共同生活上の障害が著しいとまではいい難い。
    (イ) さらに,Cが,本訴における証人尋問において,今後はビラを貼ったり,大量の私物をバルコニーに置くなどの原告から迷惑行為として指摘された行為を繰り返さない旨証言し,現に,上記の片付けなどによってその姿勢を示していることに照らせば,競売請求以外に共用部分における迷惑行為等を解消し得る手段がないとも認められない
  (4) 前記(1)~(3)のとおり,原告の指摘する被告らの行為については,いずれも本件マンションの管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為には当たり得るとしても,それらによる区分所有者の共同生活上の障害が著しいとも,競売以外の方法によってはその障害を除去して共用部分の維持を図ることが困難であるとも認めることはできず,原告による競売の請求は,区分所有法59条1項所定の要件を具備するものとは認められない。」


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